臨床心理士・公認心理師への歩み 心理系大学院の違い
こんにちは、ねこめんたる管理人の「ねこめ」です。
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臨床心理士になろうと思ったときに、まず心理系の大学院の情報集めをしますが、どこの大学院に行ってもなれるわけではありません。
臨床心理士になるには
- 第一種指定大学院
- 第二種指定大学院
- 専門職大学校
のどれかに該当する大学院に行く必要があります。
今回は心理系大学院の情報集めの際に気を付けてほしいこれらの大学院の違いについて解説していきます。
という方にオススメです。
これから心理系の大学院を目指す方は大学院選びの参考にしてみてください。
また、心理系資格の唯一の国家資格である公認心理師取得のためのカリキュラムにも対応している場合が多いので、そちらを目指す方も参考にしていってください。
そもそもなぜ指定大学院があるのか
大学院指定制の背景には、臨床心理士は、心の専門家としての一定水準以上の基本的な知識と技能を有することが期待されていること、臨床心理士の教育・訓練システムの整備を図ることといった目的があります。 この指定制度は文部科学省の全面的な支援を得つつ学部における臨床心理学科、大学院における臨床心理学専攻の新設認可をはじめ関係機関の努力によって臨床心理士(高度専門職業人)養成のための専門修士課程大学院として発展をみています。 なお、令和3(2021)年5月1日現在、全国で161大学院が指定を受けています。
上記のように、民間資格だからこそ質の担保をしていくために、このような大学院の指定性が設定されています。
第一種指定大学院とは
大学院の修了要件
臨床心理士の養成に特化した26単位以上と修士論文の作成(研究指導)
学位・担当教員
修士(心理学)が授与される。
教員は臨床心理士の有資格者5名以上で専任の教員が4名以上(うち2名以上が教授)
実習施設
付属の臨床心理相談室があることと学外の実習設備があること
資格試験
大学院修了後すぐに受験資格が得られるため、その年の秋の試験を受験可能
余談:管理人は第一種指定大学院修了
学内に付属の臨床心理相談室があり、実際に一般の方が相談に来られていましたし、クライエントの担当も院生が行っていました。
詳細はまた後日別記事で書きたいと思います。
第二種指定大学院とは
大学院の修了要件
臨床心理士の養成に特化した26単位以上と修士論文の作成(研究指導)
学位・担当教員
修士(心理学)が授与される。
教員は臨床心理士の有資格者4名以上で専任の教員が3名以上(うち1名以上が教授)
実習施設
付属の臨床心理相談室、または大学院から委託され定期的な実習が可能な学外の施設があること
資格試験
大学院修了後に1年以上の心理臨床経験(有給臨床実務経験)が必要。
専門職大学院
大学院の修了要件
臨床心理士の養成に特化した44単位以上
学位・担当教員
臨床心理修士(専門職)が授与される。
専任教員の人数が修士課程の1.5倍の研究指導教員と修士課程と同数の研究指導教員数を合わせた数であること。
実習施設
専門職大学院の目的が十分な教育効果を上げることができると認められる施設および設備
資格試験
大学院修了後に受験資格が得られ、小論文が免除。
3種類の選ぶポイント
大切なのは修了した後
現場に出るとどの大学院出身でも資格取得後の扱いに差はなく給与の差もありません。
どの人も「臨床心理士」という一人の専門家として働くことになるからです。
自分に合うのはどれだろうか
そこに加えて、学費のことや通学できる範囲などが加わってくるかと思います。
いずれにせよどこを修了しても最初は無資格で働き始めることに違いはありません。
外せない条件をまずはリストアップ
私が大学院を選ぶ際の条件は、奨学金の支払いや家庭の都合で実家を出られないなどの条件もありだいぶ絞られていたので悩むほどの選択肢はなかったです。
ただそういう環境要因での条件がなければ、無限に選択肢が広がってしまうのではないでしょうか。
そういう場合は
- 研究はこれがしたい
- この先生から学びたい
- 実習と研究は同時期にしたくない
- 最短で試験を受けたい
などの外せない条件もとに選択肢を狭めていくことも方法の一つです。
自分自身が臨床心理士を目指すに当たって何を大切にしたいのかを考えながら、じっくり検討していってください。
まとめ:じっくり自分を見つめてみよう
臨床心理士や公認心理師を目指す際には丁寧に大学院について調べる必要があります。
それぞれの大学院の長所と短所を見た上で、自分に合う大学院を見つけていってください。
試験対策を頑張っていきましょう。
臨床心理士・公認心理師への第一歩 心理学に興味が湧いたときにおすすめの取り組み方
こんにちは、ねこめんたる管理人の「ねこめ」です。
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そろそろ進級・入学シーズンですね。
今回はそんな時期にぴったりな「臨床心理士・公認心理師への第一歩」として、心理学に興味が湧いたときにおすすめの取り組み方についてお伝えしていきます。
という方にオススメです。
私の体験をもとにお伝えしますので、進路選択のモデルの一つとして参考にしてみてください。
そもそもどうやって勉強するのか
「心理学」という学問があることは知ったものの、さてどこから勉強したらいいのか…というのは興味が湧いた人は皆さんぶつかったと思います。
特に大学在学中に私が取り組んでよかったと思う方法をお伝えしていきます。
授業があればまずは履修登録!
私の進学した大学では1年生の時にすでに教養科目で「心理学」を履修することが可能でした。
その頃は「面白そうだし、単位もとれるし、履修しとくか」というなんともぼんやりした理由で履修し授業を受けていました。
正直、大学院を修了した今となっては、大学のほんの半期の心理学の授業では心理学の入り口にも立てていなかったように思います。
(もっともっと魅力的なはずなのに、半期では圧倒時に時間がたりない!)
ですが、そこで心理学担当の先生と知り合えたこと、心理学と一言にいっても対人心理学や、社会心理学、犯罪心理学など様々な種類があることを知れたことの二点は非常に大きな収穫でした。
もし通っている(入学する)ところに「心理学」の科目があり履修できそうであれば、まずは履修登録して半期や1年だけでもこの学問に触れる時間をもつのが大切です。
担当の先生のおすすめの本を聞いてみる
はれて授業を履修できた方は先生の連絡先などもゲットしているのではないでしょうか?
私は当時、心理学担当の先生のメールアドレスに「おすすめの本を教えてほしい」と直球で連絡をしました。その時は先生の持っている本を数冊貸してくださったことを覚えています。
自分が担当している学問について興味を持っている生徒を邪険に扱う先生はほぼほぼいないと思います。ですので、遠慮せずに(最低限のマナーのもと)先生に連絡をしてみたり、授業終わりの先生に突撃してみるのも一つです。
大学内の図書館でいろいろとみてみる
大学内の図書館は市などが運営する図書館とはまたちがって、専門的な本が多いです。学生のうちに学内の図書館で心理学の本の棚を少しずつでも読んでみることをオススメします。
その分類の棚に行くと心理学やその関連分野の本も併せて確認することができるので、よりたくさんの選択肢から学びを深めることができます。
自分の気になる分野であれば多少複雑な内容でも、興味をもって読めるかと思いますのでタイトルやあらすじなどで気になったものを読んでみるのも面白いです。
目標が欲しいなら「心理学検定」
ただぼんやり学ぶことがあまり得意ではなかったり。目標をたてたほうがよりはかどるタイプの人はひとまず「心理学検定」を受けてみることを目標にしてみるのもおすすめです。
この検定だけで、就職に有利になることなどはあまりないのですが、心理学の内容をおおまかに学ぶことができるので第一歩として学ぶにはちょうど良いです。
2023年度から受験機会が春と夏の2回に増え、より受験しやすくなっていますので、今から始めてみるのもちょうどいいですね。
いつから勉強すればいいか
興味が湧いたその瞬間から
気になったその瞬間から始めるのが一番です。
私自身は大学1年生に心理学を履修したので、そのころからじわじわと本を読んでインプット作業をしていました。
院試に向けての本格的な勉強は4年生からいう遅いスタートだったのですが、1年生からいろいろな本を読んでいたことがだいぶ助けになっていた実感があります。
今すぐ大学院を目指したり、心理系や関連領域へと就活をしていく可能性などはなくても、ひとまず今すぐ触れてみる、というのが大切です。
通学時間の隙間時間を利用する
大学までは公共交通機関を利用していたので、乗っている最中の時間が手持無沙汰でした。
携帯を触ることも多かったのですが、せっかくの時間なので、読書時間にあてていました。タイミングを決めておくと、自然と本を読み進めることができるのでオススメです。
ネット上にもいろんな情報が掲載されているのですが、多くの情報がある分嘘や確証のない情報も含まれています。
ですので、最初に触れる時には本などのアナログなものを隙間時間に少しずつ触れていき、心理学の世界になれていくことができたらいいと思います。
おわりに:気になったときに、すこしずつ。
私の心理学の触れ方としては
大学1年生:心理学の授業の先生にオススメの本を聞く。隙間時間に読み進める。
大体月1冊程度。
大学2年生:実習とアルバイトに忙殺される。
数か月に1冊にペースダウン。
大学3年生:実習と演習授業とアルバイトでてんやわんや。
そろそろ進路について考え始める。大学院試験の過去問を流し見。
大学4年生:前半は最後の実習、後半は卒論と院試に取り組む。
4年生でようやく院試に向けての勉強を始める。参考書や過去問を解く。
9月ごろに院試で、合格
上記のような流れでした。
私は周りに大学院に行く人が誰もいなかったので、周りが就活の中、完全に一人だけ違うペースで取り組んでいました。
とてもギリギリの時期に勉強を開始したので、上記の時期でのペース配分はあまりお勧めしませんが、1.2年生の頃のすこしでも心理学に触れておくという土台作りができていたことは本当に良かったと思います。
まずは無理なく触れてみることから始めてみてください。
そして、心理士になってみたいなと思えることがあれば、一人でも頑張るぞ、と気持ちを決めてやってもらえるとより力強い第一歩になると思います。
これからの皆さんの進路選択の参考の一つとなれば幸いです。
臨床心理士に実際なって思ったこと
こんにちは。ねこめんたる管理人の「ねこめ」です。
今回は実際に臨床心理士として働いていた時のことを体験談を交えてお伝えします。
- 実際に働くとどんな感じ?
- 気になってるけれど想像がつかない!
- 名前は聞いたことあるけど何してるの?
このように少しでも興味のある人や心理士を目指している人の参考になれば幸いです。
「ねこめ」ってどういう人?
改めて、管理人についてのおおまかな情報はこちら
ざっくりとお伝えすると、ストレートで臨床心理士と公認心理師を取得した30代の主婦です。現在は臨床活動はお休みしています。
心理職へと進んだ一番最初のきっかけは母からの「(対人援助系に)向いているんじゃない?」の一言でしたが、周囲からは「他人に興味ないよね」「己が道を行くタイプ」と言われることが多いです。
ですので、福祉系・心理系に進路を進めたときには、周囲の人に驚かれたことを覚えています。
実際どうしてその進路を選んだのかというと、「なんとなく興味がわいたから」というのが一番でした。
高校生のころの私はまだうすぼんやりとした将来のビジョンしかなく、そのくらいの気持ちで選択していました。
そんな私が心理士として働いていた時に感じていたときの良さや大変さをいくつかリストアップしてみました。
心理士になってみてよかったこと
①知識を深めることができた
ケガをしたときに絆創膏を貼る、熱があるときは安静にして病院へ行く…などと同様に心の病気のなり始めも早め早めの対処が大切です。
しかし、心の病気の違和感はわかりにくいものも多く、自分の体だとしても早めに気づくことがとても難しいです。
そのため、心理士としての専門知識を学び、自分や自分の大切な人を守ることができる方法を増やすことができたことが良かった点です。
②自分のケアができるようになれた
①に関連することですが、自分自身の健康な状態を丁寧に把握することができるようになりました。
心身ともに健康な時の私は
- 食事:抜いたりしない。たくさんたべる。
- 睡眠:いっぱい寝る。8時間はねる
- 趣味:楽しくやれる。やらなきゃ、とならない
という状態ですが、心身のバランスが崩れると
となってしまうのです。
とても単純なことかもしれませんが、これらの異変が出たらなるべく休んだ方がいいことや、そうなるまで予定を詰め込んだりしないで余裕をもって過ごせるようになりました。
③腰を据えて物事にじっくり向き合う力がついた
大学院での専門的な学習や実際臨床心理士として働く中で、少しずつの変化を一緒に感じながら過ごすこと、見逃さないことが大切だと知りました。
もともと私個人はとてもせっかちで、物事はさっさと解決してすぐ次のことに取り組みたいタイプでした。
しかし、カウンセリングではそのペースでやってしまうと相手を置き去りにして自分だけが満足するような状態に陥りがちです。
そうではなく、腰を据えて「よしどうやっていきましょうかね」と目の前の物事に対して場所を変え、時間を変え、角度を変え…とじっくり向きあって考えていくことでしか出会えないものがあるのだと思います。
余談:創作物をさらに別の視点で楽しめるようになった
私の趣味の一つに読書、特に小説があるのですが、その楽しみ方の幅が増えました。
元々小説を読む際には、いろいろな登場人物の立場を追いながら何度も読み返すことが多いのですが、そこに加えて心理学的な視点を踏まえて読むことで楽しむ方法です。
児童文学などは特に対象年齢とその発達段階、家族との関係性の変化なども踏まえて読んでいくとよりおもしろさの幅が広がっていくように感じました。
実際その捉え方があっているかどうかは別として、「知識を生かして楽しむ」ことが結果的に知識の定着につながっていた気がします。
心理士になって大変だったこと
①想像以上にやることが多くて大変
心理士の主な仕事は「カウンセリング」「心理検査」という2本柱がイメージされやすいと思いますが、それ以外の業務も多かったです。
職場環境によると思うのですが、私の勤めた病院は心理士の関わることのできる仕事が多く、経験させてもらえる仕事も多かったです。特に多職種で連携することが当たり前にあるのも特色でした。
例を挙げると、外来でのグループワークや院外での講師業務、病棟でのグループワークや家族へのフォローなど、あげていくときりがないです。
刺激も多く、いろいろなことができるのは経験にもなるのでとても楽しく、やりがいもあったのですが、大学院の同期に驚かれる程度には業務量が多かったみたいです。
②研修で土日がつぶれがち
臨床心理士として自己研鑽するためには仕方のないことなのですが、定期的に研修や学会などがあり、これに参加しなければなりません。
そして旅費や会費などで出費も重なることも多く、「わかってはいるけどしんどい!」という部分でした。
③「話したら心の中がぱぱっとわかるんでしょ」という周りの誤解
なぜか持たれやすい誤解・幻想です。飲み会の席で「しゃべったら性格とかわかるんでしょ!」と言われたり。
そんなことはありません。
声を大にして言いたい。
しいて言えば人の心ってそんなほんの一瞬だけではわからないということがわかっているだけです。なんでもわかるエスパーのように言われることが少ししんどかったです。
おわりに:大変だけどやりがいはとてもあった。
その一言に尽きます。本当に大変でしたが、それ以上にとても楽しくやりがいが大きかったです。
私自身、よく周りの人に勘違いされていたのが、「カウンセラーになるなんて、昔から固い決意で頑張っていたに違いない!」という点です。
(ほかの方はわかりませんが)実際そんなことはないんです。ほかの将来の夢や進路を決める過程とそう変わりはないと思います。
むしろ過度に期待したり、理想ががちがちに固まっていない方が臨機応変にできていいと思っています。
心理職を目指している方には私の体験が少しでも参考になれば幸いです。
また自分の仕事やこれからについて改めて考えるきっかけになれたら嬉しいです。
ねこめんたる 管理人”ねこめ”について
はじめまして。
ねこめんたるの管理人の「ねこめ」です。
当ブログは心の専門家である臨床心理士・公認心理師として働いていた経験のある管理人が、必要最低限の専門知識や様々な体験談などをアウトプットしていくブログです。
「ねこめ」とは
ざっくりとですが、私について紹介します。
学生時代は特に主だった悩みなどはなく、どちらかというと「学校大好き」勢でした。
ただ、女子同士の複雑な人間関係に巻き込まれることも多く、「どうしてそんな風に思うんだろう?」と誰か一人の悪口で結束していくほかの子たちを不思議に感じてもいました。
そんな私が対人援助、心理系へと進路を決めたのは、母からの「向いてるんじゃないかな」という提案が最初のきっかけでした。
当時はそこまで深く考えておらず、「心理学は勉強したらおもしろそう」という興味からぼちぼち勉強して進学。
(偏差値50から55程度だったので平凡な受験生でした)
大学生活では実習などの経験で一度は精神保健福祉士で就職を考えたものの、せっかく進学したならさらに大学院で臨床心理のことも学ぼうと思い、受験し進学となりました。
大学院時代は勉強などの院生生活にかかわることすべてを今までで一番頑張っていたように思います。
(その分体調も崩しまくっていました…)
修了後は新卒で精神科単科の病院へ。働きながら臨床心理士、公認心理師を取得しました。
カウンセリング業務と心理検査のテスターのほかにもグループワークや院内外への出張講義など非常にたくさんの業務を経験させてもらいました。
現在は臨床業務から一度離れておりますが、資格更新は続けています。
「ねこめんたる」とは
「ねこめんたる」というブログの名前は管理人の猫好きを大いに反映していますが、
それとは別に「猫のように自分のペースで生きていくことを大事にする」というモットーを含めて命名しました。
当ブログでは主に心理士を目指す人に向けて
- 心理系大学院合格へ向けてのノウハウ
- 資格取得へのノウハウ
- 様々な体験談
- 心理学に関するわかりやすいまとめ
- そのほか コラム
を発信していきます。
人の心についてやそれに関わる仕事について知りたい・理解したいという希望にすこしでも役に立つことができれば幸いです。
まとめ
基本的には、これから心理系大学院をめざそうとしている方や現場に出て数年の方へ発信していますが、
すこしでも心理学に興味のある方へも参考にしていただけたら嬉しいです。